道路の安全対策について

(1)道路トンネルの上部に設置された施設と道路地下の空洞対策による道路の安全性確保について

質疑を行う藤井しんすけ

戦後の高度経済成長の過程で大量に整備された道路や橋などインフラの老朽化に伴う様々な問題が深刻化している。
 本県においては、日頃から道路パトロールによる巡回点検を実施し、安全・安心の確保に努めているほか、中央自動車道笹子トンネル事故を受けて、トンネル上部に設置されている大型換気施設などについて一斉点検を実施し、安全確認をしたことも承知している。
 また、道路の路面の下にも空洞など、外見からでは分からない危険がある。路面下の空洞は、様々な原因で発生すると考えられていて、空洞が大きくなれば路面の陥没を引き起こす。
 こうした日常のパトロールでは異常を発見することが困難な箇所についても、しっかりとした点検と、点検結果に基づく早急な対策が必要である。
 そこで、県が管理する道路におけるトンネル上部に設置された施設と、路面下の空洞の点検と対策について、今後どのように取り組んで行くのか、伺いたい。

知事答弁

答弁を行う黒岩知事

道路施設の維持管理を着実に行っていくためには、定期的な点検により異常を早期に発見し、速やかに対策を講じることで、事故の未然防止を図っていくことが重要です。
 トンネルは、道路施設の中でも、重要な施設です。このため、本体のコンクリートなどは5年ごと、ジェットファンについては、毎年、取付部も含めて点検を行い、必要に応じて補修工事を実施しています。
 また、中央道・笹子トンネルの事故を受けて、ただちにトンネルの一斉の緊急点検を行いました。幸い、異常は発見されませんでした。
 道路陥没の原因となる路面の下の空洞については、技術的に発見することが困難であり、県では、これまで定期的な点検の対象としていませんでした。
 しかし、埋設されているライフラインの老朽化や、大規模地震発生の切迫性が指摘される中で、車両や歩行者の通行の安全を確保するためにも、路面の下に生じた空洞を、早期に発見することが重要です。
 こうした中、最近では、空洞を発見する技術開発が進んできており、また、今回の国の補正予算で、新たに空洞調査が対象となりました。国土交通省のこうした取組みは、時宜にかなったものであると考えています。
 そこで、県としては、この補正予算も活用して、管理する緊急輸送道路約600キロメートルについて、今後3年程度で調査を実施し、対策工事を進めていきたいと考えています。
 今後とも、こうした取組みにより、道路利用者の安全と安心の確保に努めてまいります。

要望

特に震災の後、問題が起こってから対処する事後保全型、それから、問題が起こる前に対処する予防保全型という考え方があります。
 やはり、予防保全型というのが、予め色々なことを考えつつ進めていくわけですから、色々な費用もかからずに済むと思いますので、ぜひそのような考え方を持っていただければと思います。
 今まで私が個人的に考えるところでは、行政は、予見可能性といいますか、予め何かことが起きたときに、それをきちっとできるか、また、あとで反省しなければいけないという場面をよく見ますけども、その時点でわかっていたのではないかということが、あまりにもここのところ多い気がしています。そういった意味で、先ほど質問させていただきました。
 この道路に関して、特に、トンネル上部、また路面下というのは本当に目に見えない。そういったところを予め危険を察知してやっていく。
 最近になってそのような状況がわかったということであるというのは、そうおっしゃっておられましたので、それは本当にそのとおりなのだろうと思いますけども、特に、大きな穴、小さな穴、様々あります。
 とにかく、車1台がその陥没したところにはまってしまいますと、道路は大渋滞になり、緊急自動車も出動できなくなりますので、そういった意味で、小さなところを少しずつやっていただきたいと思います。
 答弁では、600キロを3年でと、具体的にお話もいただきました。ぜひ、前倒ししていただくような勢いで、ぜひやっていただきたいと思います。

(2)横断歩道橋に係る平成23年度調査を受けた取組について

質疑を行う藤井しんすけ

横断歩道橋は、昭和30年代から40年代にかけて、車道を横断する歩行者と自動車の交通を分離して、交通事故による死者を減らすための方法の一つとして、全国各地で整備が始まったと言われる。
 整備が進んだ結果、交通事故による死者数を大きく減少させ、重要な役割を果たしてきたことは、十分に理解しているが、横断歩道橋を取り巻く状況は、少子化や超高齢化社会の進展による利用者の減少など、その多くが設置された時代とは異なってきており、横断歩道橋の利用に関する地域住民や利用者のニーズが変化してきているものと考える。
 こうした横断歩道橋を取り巻く状況を踏まえて、私は、平成23年の第一回定例会において、この横断歩道橋について、利用者の立場を十分に考えたうえで、実態にあった見直しを行うことについて、質問し、県としても、横断歩道橋の利用実態を把握するための調査を行うとの答弁を得た。
 そこで、県が管理する横断歩道橋について、利用実態を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、伺いたい。

知事答弁

答弁を行う黒岩知事

 横断歩道橋は、高度経済成長期に集中的に整備され、歩行者の安全確保に大きな役割を果たしてきましたが、時代とともに、その使われ方が変化している場合もあります。
 そこで県は、平成23年度に、県内全体で853橋ある横断歩道橋のうち、県が管理する166橋全てを対象として、通学路の指定状況や利用者数などの実態を調査しました。 
 その結果、約7割の117橋が通学路に指定されていることが確認され、現在でも児童の安全確保に重要な役割を果たしています。
 残りの49橋の中には、利用者数の多い箇所がある一方で、横断歩道橋を使わず、道路を横断する人が多い箇所、周辺の土地利用が変わり、利用者数が非常に少なくなった箇所などがありました。
 その中には、小学校の移転により、利用者が極めて少なくなったため、地元などと撤去に向けた調整を進めている箇所があります。
また、交差点の改良工事にあわせて、横断歩道橋を撤去した箇所や小学校の開校に伴い、地元の方々からの要望を受け、新たに設置した箇所もあります。
 県としては、今後も、横断歩道橋の利用実態を的確に把握し、地元の方々や市町村、交通管理者などと調整を図りながら、地域の実態にあったものとなるよう取り組んでいきます。
 また、横断歩道橋を津波の際の避難施設として活用できるかどうかについても、あわせて検討してまいります。

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